事業再生/破産

赤字企業の複数の事業を分析・評価して再生可能な事業を別会社に譲渡し、事業の継続を実現

2024.05.15

複数の事業の一部は再生可能だが全体としては赤字が続いていた企業について、再生可能な事業だけを別会社に譲渡した後、企業本体を破産手続により清算した事例

企業全体としては債務超過でも、再生可能な事業がある場合、事業譲渡によりその事業が存続し、再成長できる場合があります

コロナ禍による経済の停滞の影響で、急激に経営状況が悪化する中小企業が増加しています。事業再生の手段としては、任意整理や再建型法的整理をまず検討しますが、様々な事情から再建型の任意整理や法的整理を進めることができない企業が増えています。そのような企業でも、再生可能な事業がある場合、スポンサー等新たな企業に譲渡して事業を継続できれば、事業廃止により取引先や従業員等に与える影響を軽減でき、社会的にも有意義といえます。

再生可能な事業の譲渡を行うことで、債権者にも破産手続における配当率増加というメリットが生じる場合があります

一般的に、破産により個別の資産を売却するよりも、一体的な「事業」として譲渡する方が、事業価値の毀損がないため対価は高くなります。そして、再生可能な事業を譲渡した後に残った企業本体について破産申立を行う場合、その企業が事業譲渡の対価として受け取った資金を破産申立までの運転資金や破産手続費用に充てることにより、債権者としても、個別の資産の売却する場合と比べて配当率が増加するというメリットを受けられる場合があります。

債権者からのクレームや破産管財人からの否認権行使を避けるため、事業譲渡を行う際の適正な評価額の算定が重要です

破産申立前に再生可能な事業のみを別会社等に譲渡する場合、破産手続開始後に債権者から不当な譲渡であるというクレームを受けたり、破産管財人から事業譲渡の効力を否定(否認)されたりする可能性があります。そのリスクを避けるためには、譲渡する事業の評価額を適正に算定することが不可欠で、それに加え、事業譲渡の必要性や相当性、債権者その他の利害関係者に対する説明や調整が必要な場合もあります。

公認会計士等と協働し適正な評価額を算定して事業譲渡を実行し、残った企業本体を破産手続により清算

本事例では、事業再生を専門とする公認会計士や財務コンサルタントと連携して事業の再生可能性の分析・評価と事業価値の算定を行い、別会社への事業譲渡を実行しました。残った企業本体は破産申立を行いましたが、事前の説明が奏功し、債権者や破産管財人等から事業譲渡に関する異議はありませんでした。代表者個人も破産申立を行い連帯保証債務を消滅させた後、事業を譲り受けた会社に事業責任者として迎えられ、現在も成長のため尽力しています。

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