病院に対する患者からの不当クレームに対し、弁護士が代理人として対応し解決
2024.05.15
医師や看護師に言いがかりをつけ、診察室や受付に居座り、大声で怒鳴るなどの行為を繰り返していた患者に対し、弁護士が代理人として調査や警察との連携等の対応を行い解決した事例
クレームは初期対応が重要で、対応を誤ると長期化し、従業員が疲弊してしまう危険性もあります。
クレーム対応の基本プロセスは、①聴き取り、②事実の調査・確認、③方針の決定、④回答、⑤外部への連携です。クレームの発生当初からこの基本プロセスを徹底することで、泥沼化しないクレーム対応が可能になります。顧客の企業に対する理不尽なクレームや言動はカスタマーハラスメント(カスハラ)と呼ばれ、SNS等が普及して顧客側の発信力が増大したことなどから近年増加しており、社会問題化しています。
企業には、安全配慮義務に基づいて従業員をカスタマーハラスメントから守る責任があります。
自社による対応では、どうしてもお客様としての対応となり、相手も客としての扱いを求めます。そのため、法律や裁判例のルールに基づく対応ができず、執拗かつ長時間の電話や面談への対応を余儀なくされるなどして従業員が疲弊してしまい、生産性の低下や離職者・休職者の増加につながります。企業にはカスハラ対応に必要な体制を整備する法的義務があることに加え、カスハラによるストレスのない職場環境を整備することは、優秀な人材を獲得する上でも極めて重要です。
弁護士が代理人として対応することで、経営者や従業員の皆さまは本来の業務に集中することができます。
本事例では、弁護士が病院の代理人として相手方の言い分を聴き取り、事実の調査・確認(調査の結果、患者が主張していた医師や看護師の不適切な言動は認められませんでした)を経て、患者の要求に対して書面での回答を行いました。それでも患者が受付等での居座りを止めなかったため、警察と事前に連携し、防犯カメラで証拠を保存した上で、犯罪被害を申告して対応を求めたことでクレームは終了しました。また、後日、クレーム対応マニュアルの作成やクレーム対応研修の実施など、将来に向けた体制整備のサポートも行いました。