個人関係法務

公正証書遺言、養子縁組、遺留分放棄など複数の手段を組み合わせて依頼者の希望に沿った相続を実現

2024.05.15

会社を承継する子どもに株式や事業用資産を全て相続させる遺言を作成し、養子縁組や生命保険等も活用して、他の子どもからの将来の遺留分侵害額請求のリスクにも備えた事例

高齢化社会が進む日本において、終活や相続対策への関心が高まっており、遺言作成件数も増加傾向にあります。

令和2年7月に開始された自筆証書遺言書の保管制度の利用件数は年々増えており、同期間中の公正証書遺言作成件数も増加しています(令和5年1月時点)。また、裁判所に持ち込まれる遺産分割事件数も増加傾向にあります。このような相続をめぐる紛争の増加と高齢化社会の進展に伴う相続対策への意識の高まりを受け、遺言作成を検討される方が増えており、当事務所でも、遺言に関する案件はご相談・ご依頼ともに増加しています。

遺言作成により、ご自身の意思に沿った相続を実現でき、相続トラブルを予防できるメリットがあります。

遺言書があれば、その記載内容が法定相続分よりも優先しますが、遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行って分割方法を決めることになります。つまり、遺言書がなければ、遺産を残す方の意思を示すことができません。一方、遺言書を作成しておけば、被相続人の意思に基づいた相続が実現できますし、分割方法を指定すれば遺産分割協議を行う必要がないため、相続トラブルを予防でき、相続人の相続手続の負担も軽減できます。

様々な相続トラブルと対策を熟知した弁護士が、あらゆる事態を想定した隙のない遺言を作成

本事例では、会社を承継する予定の子どもに株式や事業用不動産等を全て相続させ、折り合いの良くない子どもが遺留分を主張した場合の対策も講じたいという依頼者の意向を実現するため遺言作成等を行いました。相続させない子どもの遺留分侵害額をできる限り減少させるため、孫(会社を承継する子どもの子)と養子縁組を行うとともに、将来、遺留分侵害額の請求を受けた場合に備え、原則として遺留分の対象にならない生命保険を活用しました。

相続税対策から遺言作成、遺留分対策、遺言執行、相続税の申告までをワンストップでサポート

本事例では遺産が高額になる見込みであったため、相続を専門とする税理士と連携して相続税対策を同時に進めました。遺留分侵害額の算定も協働して行い、支払原資となる生命保険金も十分な金額を確保したため、会社を承継した子どもは実質的な負担なく株式等事業に必要な資産を全て相続できました。また、具体的な相続手続は遺言執行者に就任した弁護士が全て行ったため、相続手続の負担もほとんどなく、依頼者の希望に沿った相続をスムーズに実現しました。

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