リスクを可視化してコントロール可能にし、十分な情報に基づく経営判断を実現する顧問弁護士の活用方法
2024.06.20
リスクの起こりやすさと発生時の結果の大きさの2つの視点からリスクの大小を示すよう顧問弁護士に求め、成長のためにリスクをとるか否かの意思決定に活かす
経営者にとって新たな事業の創造が重要な課題とされる現在、法的リスクがあることは、その事業を断念することと同義ではありません。
私は常々、企業はリスクをとってこそ成長するもので、リスクを避けてばかりいては新しいことができず衰退してしまうと考えています。経済産業省が2019年に公表した「経営者が法務機能を使いこなすための7つの行動指針」でも、「企業経営者にとって、社会に新たな価値を提供し、新たな収益源となる『事業の創造』こそが重要な課題である」が、「『事業の創造』の検討においては、何らかの法的リスクが常に伴う」とされています。
経営者が経営法務を使いこなすことで、リスクをコントロールして事業創造を可能とし、企業価値の向上を実現することができます。
前述した経産省の行動指針は「企業においては、法的リスクが指摘されることで、その事業によって実現される価値とのバランスの衡量がされることなく、あるいは、リスクを低減するための十分な代替策・対応策が検討されることなく、新規事業の創出に過剰なストップがかかる」とした上で、「経営者は法務機能を使いこなすことによって、法的リスクを乗り越えて事業の創造を可能とし、企業価値の向上を果たすことができる」としています。
法的リスクを乗り越えて企業の成長を実現するために、経営者は顧問弁護士をどう活用し、顧問弁護士はどう対応すべきでしょうか。
以前、ある経営者の方から、「今の顧問弁護士は質問すると回答は早いけど、第三者的な意見だけで解決策の提案がない。『法的リスクがあります。あとは経営判断です』と返される」という話を聞きました。顧問弁護士は企業が成長のため適切にリスクテイクできるよう支援することが仕事です。経営者がとれるリスク・とれないリスクを判断できるだけの情報を提供しなければならず、このような回答では責任を果たしているとは言えません。
早期に顧問弁護士を関与させ、起こりやすさと結果の大きさの2つの視点からリスクを分析することが経営法務活用の第一歩です。
顧問弁護士が経営者に事業のリスクについて意見する場合、リスクを特定して分析・評価し、その対応を検討するというプロセスが重要です。リスクの起こりやすさと結果の大きさの2つの視点から数字(金額)で分析・評価し、リスクの低減策とリスクへの対応策も同時に検討します。これによって、経営者はリスクをとって事業を前に進めることができるか、十分な情報に基づいて意思決定できます。このような観点から顧問弁護士に意見を求め、経営法務を使いこなしてください。
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